前回の記事では、目標とするコンサルテーションのイメージについてお話しました。「心理占星術・コンサルテーションの世界」には5本のコンサルテーションの会話のやり取りが掲載されているので参考になります。実際にコンサルテーションの会話の流れを読むと、どのようなコンサルテーションが進んで行くのかイメージができるでしょう。ぜひ、前回ご紹介した「心理占星術」の2冊の本に掲載されているコンサルテーション全体の会話を読んでみてくださいね。このようなコンサルテーションは、事前に準備をし、流れを組み立てておいて進めていきます。では、コンサルテーションの中ではどんなことを行なっているのでしょうか。どのように準備をしたらよいのでしょうか。実は、このコンサルテーションの流れの中で多くのことを同時に行なっているのです。ノエルティル先生は、多くの経験と心理学の知識などを組み合わせながら効果的な「流れ」を構築していったのです。コンサルテーション時の会話のさまざまな目的が見えてくると、どんな準備をするべきか理解しやすいのではないでしょうか。
ノエルティル先生の説明にときどき使われるものの中に「Expanded Present」という概念があります。「拡張された現在」ということですが、これはとても深く考えさせる概念です。しかし、コンサルテーションの目的の一つはこのような「拡張された現在」の意識をクライアントの中につくることかもしれません。
悩みを解決していく際の一つの道しるべとして「今、ここ」をしっかり意識しようというものがあります。この「今、ここ」というのは、文字通りの意味は「現在」ですが、それは例えば「遠くの目標よりも目先の利益を優先する」などという安易な発想ではないでしょう。ダイエットしているのに目の前においしそうなものがあり、「今、ここ」と言いながら手を出してしまうのは何か違いそうですね。「今、ここ」を中心に進めるというゲシュタルト療法の紹介には、ときどき「過去の体験に原因を探ることをせず」という説明を見ますが、人間の全体性に気がつくには過去はヒントになると私は考えます。つまり、過去をヒントにして「拡張された現在」の感覚をつくるのです。そこで、ホロスコープに関連した自分自身の安定した特徴が過去から未来へ一貫して存在し続ける様子が意識化されれば、いわゆる「フロー」の感覚が得られ、ものごとに取り組みやすくなるのではないでしょうか。
このような気づきを進めていくことが、コンサルテーションの一つの目標です。つまり、「準備」の際にはそれを行なうために必要なテーマを集めて組み立てておく必要があります。
また、過去の出来事のタイミングを確かめていくことは、簡易なレクティフィケーションを行なう意味もあります。記録される出生時刻は、必ずしも占星術的に適切な時刻ではないこともあります。ある程度正確な時刻が記録されていても、占星術の時期表示と実際の出来事の体験のタイミングが一定の割合でずれていることもときどきあります。コンサルテーションの最中にこのようなことに気がつけば、時刻を少し修正することで効果が現れやすいより正確なタイミングへと焦点を合わせることができます。さらに、過去の体験と占星術の象徴を関連づけていくことにより、その人の人生の中での象徴の働き方の癖のようなものも認識できます。これらを行なっていくためには、準備としてそのようなポイントに特に関わりやすい時期を整理して見つけておくことが重要です。
また、職業の方向性や対人関係、健康問題など、典型的なテーマに関連する配置に関して分析を進め、指針をつくっておくことも重要です。象徴から焦点が具体的に定まるわけではありませんが、繰り返される象徴から強力なテーマを見つけておくことができます。それらは、コンサルテーション時にクライアントとの話の中で明確な焦点を持つことになり、未来への洞察へとつなげることができるでしょう。
もうひとつ、私が注目しているのは、「子ギツネ」効果の自覚というポイントです。これは、サインとハウスという異なるものさしを持った占星術を利用しているからこそ明確になりやすい心理的な成長プロセスの効果の話です。人間は誰でもとても長い時間をかけて成長していきます。その中で幼い頃に行動パターンが形成される環境と大人になって活動する環境は必ず異なりますが、人間の心理は必ずしも環境の変化に適切に対応していない可能性があります。むしろたいていの場合は、似たようなテーマを見つけながら形成された行動パターンを無自覚に維持してしまっていることが多いのではないでしょうか。ホロスコープを使うとそのような側面もとても意識化しやすくなります。
このような成長過程の特徴は、上に挙げたような職業や対人関係、健康問題などの具現化にさまざまに絡み合っていきます。それらについてどのように話題にしたら理解が深まるのか、重要なテーマを意識化できるのか、じっくり考えておく必要があります。
コンサルテーションの中では、このようにいくつかの視点を同時に考慮しながら進めていきます。象徴については、さまざまな方向へとイメージを広げることができますが、コンサルテーション時に話をしっかり深め、人生に役立つ洞察を得られるように、事前にさまざまな角度から分析を深め準備をしておくのです。
これらのテーマをしっかり意識し準備を進めコンサルテーションを行なうことはとても労力がかかります。しかし、練習を積み重ねることで総合的な感覚ができていき、次第に準備の時間も効率化されていきます。ノエルティル先生の下では、世界中から多くの占星家がこのようなポイントを具体的に学び、練習を積み重ねています。練習を積み重ねることで、多くのテーマを総合しながら考えていく力がついていくのでしょう。占星家のみなさん、ぜひ、ご一緒にこのような技術を高めていきましょう!
来日セミナーへ向けて、ノエルティル占星術の理解を深める勉強会を行います。7月末に占術スクールカイロン大阪教室で行ないますのでぜひご参加ください。
2016年7月30日(土)& 31日(日)カイロン大阪教室にて
・ノエルティル心理占星術の基礎(これから勉強される方向けに重要なポイントを1から説明していきます)
・ノエルティル来日セミナーをより深く楽しむ勉強会(来日セミナーをさらに理解を深める材料として知っておきたいテーマをカバーしていきます)
詳しい情報はこちら:
http://www.chiron-school.com/ishizuka.htmlまた、8月には東京でも勉強会を企画中です。貴重な来日セミナーで多くのことを吸収できるよう工夫していきたいと考えております!